PDCAサイクルでは、DOで実行してきた施策を次のCHECKで振り返りながら評価していきます。しかし、この「評価」ができていない企業は数え切れないほど見受けられます。

これは、理由として「計画の作りこみが甘い」「評価する機会を設けていない」「評価の仕方が分からない」といったことなどが考えられるでしょう。ここでは、現状の評価の仕方としてトヨタの現場でも行われている「ベンチマーキング」についてご紹介したいと思います。

ベンチマーキングというのは一般的にも使われる手法ですが、“現在の状態”と“成功している事例”とを比較して、どのようにすれば現在の状態をよい方向に持っていけるかを見つける作業です。

ある経済アナリストがトヨタのことを「永遠にベンチマーキングし続ける企業」と呼んでいましたが、まさにここはトヨタの強さの源泉ともいえるでしょう。

ベンチマーキングにおける比較対象にはいくつか種類があります。順に解説していきます。

「1.競争的ベンチマーキング」

これは、既にその業界で成功している先行企業をじっくり研究して、どうすれば同じように成功できるかという要因を抽出していく方法です。トヨタは昔から米国のGMをベンチマーキングし続け、ついには追い抜くこととなりました。

「2.内的ベンチマーキング」

これは、自社の他部署などで業務の効率化や業績向上の成功事例があれば、自社内でもベンチマーキングをしていく手法です。トヨタでは例えば「クロスチェック」といって他の販売店の優れているところをすぐにベンチマーキングし、日々の取り組みに生かしていく、ということが日常的に行われていました。

「3.機能的ベンチマーキング」

競合他社ばかりをベンチマーキングしていると、その企業の真似となってしまい超えることができません。GMを超えることができたのは、まさにこの機能的ベンチマーキングがあったからだと言えます。

たとえば、トヨタのカンバン方式はアメリカのスーパーマーケットをベンチマーキングしています。異業種であっても優れているプロセスや取り組みについてはベンチマーキングして、他が優れていればどんどん取り入れていく貪欲さがトヨタにはあるのです。

以上のように、自社や競合企業、異業種を含めてベンチマーキングしていくことで、「計画」と「実行」の結果を厳しい目で見ることができ、実行の質も高めることができ、市場において競合他社を出し抜けるような現場が育っていくというわけです。

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