PDCAサイクルはPLAN(計画)からスタートするわけですが、計画を立てる際には「結果」というものにフォーカスして様々なアプローチを考えるべきではないかと考えます。

トヨタでは、「算術」とか「忍術」といったキーワードがよく出てきます。計算どおりの目標に対して従来どおりの平凡なアプローチをするのではなく、常に「別のやり方はないか」と考えて計画を立てていくのです。

算術上における1+1=では当たり前の答えが導き出されるだけですが、そこからさらに答えを2でとどまらせることなく「3にできないか?」「4にできないか?」と考え続けるようなものです。

過去の数字にとらわれず、工夫次第で数字はいかようにでもなる。これが「算術より忍術」という考え方の根幹になります。

ITやWEBの業界などでは特に「工数」という言葉を耳にします。工数がこのくらい掛かるから、予算はこのくらいを見積もって、というような感じです。これはある意味「算術」の話であり、「人間の限界を作っている」とも言えるかもしれません。

トヨタの経営陣は昔から「マンアワー(工数)は計算できても、マンパワーは計算できない」と言っていました。つまり、「人の能力に限界はないはずだから、工数は単純に計算できてもマンパワーを計ることはできないのだ」ということです。

よく使われている「工数」という概念には「伸びしろ」が入っていないのです。伸びしろというのは、ここでは「人の知恵」や「改善の余地」などのことを指しています。

一人ひとりの知恵を引き出して改善を進めていけば、計算以上の仕事ができるはずです。計算できることと、計算できない要素をしっかり組み合わせていくことで、仕事はより大きなものに成長していくのです。

トヨタは、一人ひとりの知恵や能力というものを非常に信じている会社です。個人の能力を尊重しているからこそ、各自が「忍術」を使うかのように高い目標を設定することができるし、それを実現するためのPDCAが回り続けているのではないかと考えられます。

ぜひとも会社内で何か計画を立てる際には、「算術」に縛られることなく、知恵を広げて「忍術」を発揮していただきたいと思います。そうすることで、会社も個人も飛躍的に成長することができるのではないでしょうか。

 

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