カイゼンが嫌いなのは間違っていない?!間違って広まったカイゼンの今

「カイゼンに終わりはない」とよく言われますが、そう聞くとモチベーションが一気に下がってしまうという方もいるかもしれません。「終わりがないのか」と肩を落とす気持ちも分かります。実際、今日の多くの現場で実施されている“カイゼン”は、本来のカイゼンとはかけ離れたものになってしまっているのです。

本記事では、多くの企業が見失ってしまったカイゼンの本当の姿と、間違って広まってしまったカイゼンの実態を紐解き、皆さんが「カイゼンは嫌い」とならないためのヒントをお届けします。

カイゼンなんか嫌いだ

そもそもカイゼン活動とは

・忘れられたカイゼンの本質

カイゼンの本質は「人づくり」にあります。トヨタ自動車のモノづくりは、創業者・豊田佐吉が母を助けたいという想いから始まりました。つまり、原点にあるのは“人”なのです。トヨタでは今も「モノづくりは人づくり」と掲げ、業務改善を通して人を育てることを重視しています。

しかし、昨今では業務改善だけが独り歩きし、本来の「人を中心とした育成」という目的が薄れてしまったケースも多々見られます。「現場主義」だからと改善を現場に丸投げし、上層部は成果だけを求める。これでは前向きな改善どころか、現場の士気を削ぐ悪循環が生まれてしまいます。

 

・カイゼンと改善は別物

「カイゼン」と「改善」は、似て非なるものです。改善とは、発生した問題に対処するための具体的な手法であり、PDCAサイクルや5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)などが代表例です。個人や部署単位で局所的に行われる点が特徴です。

一方、カイゼンはより広く、深い概念です。カイゼンは、問題が発生する前から潜在的なムダや非効率に目を向け、理想の状態を目指して継続的に改善を行います。7つのムダや3M削減などの手法を活用しながら、経営層から現場まで全員が参加する“哲学と手法が融合した活動”なのです。

なぜカイゼン活動を嫌いになるのか

では、なぜカイゼン活動を嫌いになってしまうのでしょうか?ここではいくつかの理由を解説しましょう。

 

・指示を出す人間がカイゼンに参加していない

もっともモチベーションを下げるのは、「やれ」と命じるだけで自らは何も動かない上司の存在です。「今月は生産性を10%上げろ、カイゼンしろ!」と無策で言われても、現場は疲弊するばかりです。

本来、カイゼンは現場と上層部が一体となって行うべき活動です。カイゼンを“現場だけのもの”と誤解し、放置する風潮が現場の不信感を生んでいるのです。

 

・カイゼンの成果が還元されない

苦労して成果を出したとしても、それが評価や報酬に反映されなければモチベーションは保てません。スキルマップや評価制度にカイゼンが明記されていない企業も多く、努力が正当に評価されないことが「カイゼンが嫌い」と思われる原因のひとつです。

 

・本来のカイゼンが忘れられた

トヨタ自動車の三現主義(現地・現物・現実)では、現場に行き、現物を見て、現実を理解することが問題解決の基本です。しかし、形式だけの改善や見かけの良さを追い求めるあまり、この本質が失われているのが現状です。

手段と目的が入れ替わり、「カイゼンをした」という事実だけが重視される傾向も見られます。さらには、上層部の意向によって現場の本音が抑圧されることもあり、ますます形骸化が進んでいるのです。

そのため、「カイゼンなんて時代遅れだ」と口にする現場担当者もいるかもしれません。実際に時代遅れなのかどうかは下記の記事で解説しています。ご参照ください。

真のカイゼンはどうあるべきなのか

・真に全員参加であるべき

真のカイゼンとは、全従業員が主体的に関与する活動です。経営層は現場の活動を支援し、他部門との調整や全社的な目標との整合性を図る役割を担うべきです。

業務はすべてつながっています。組織全体で一丸となって取り組むことで、持続可能なカイゼンが実現するのです。

 

・カイゼンが成果を生むならば報酬は必須

「孫子の兵法」にもある通り、賞罰の明確さは組織の士気に直結します。努力して成果を出した者に対し、適切な報酬や評価を与えることは、現代の企業においても不可欠です。

報酬制度の設計は容易ではありませんが、「報われない努力」が常態化すれば、誰も継続的に取り組もうとは思わないでしょう。

 

・上層部が率先して成果を示す

上層部こそが率先してカイゼンの必要性と成果を示すべきです。現場にプレッシャーをかけるだけでなく、自らが“改善する姿勢”を見せることが組織全体の動力になります。

 

・リーダーシップとマネジメント

現場を鼓舞する“リーダー”と、計画的にプロジェクトを進める“マネージャー”の役割を明確にしましょう。両者の役割が不明確なままでは、組織の推進力は失われてしまいます。

カイゼン活動が嫌いにならないためにすべきこと

・小さな改善からコツコツと

いきなり大きな成果を求めるのではなく、小さな成功体験の積み重ねが重要です。「改善提案が通った」「作業が少し楽になった」──この実感こそが次の改善へのモチベーションになります。

 

・成果は自分で活かす

カイゼンの成果は、自分の業務をより楽にすることにつながります。作業効率が上がれば、心身の負担も軽減され、余裕が生まれます。これは結果的に、次の改善のアイデアを引き出す好循環を生むのです。

 

・専門家に任せてしまう

限界を感じたら、外部の専門家に相談するのもひとつの手です。現場だけでの工夫に頼りすぎてしまうと、負担が偏りすぎてしまい、かえって逆効果となるケースもあります。

カイゼンに真剣に取り組んだ結果、「カイゼンが嫌い」と感じるようになってしまったのであれば、それはあなたが本気だった証です。次のステージへ進む準備が整っているのかもしれません。

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