PDCAサイクルの最初の『PLAN』において、往々にして「前はこうだったから次はどうしよう」と考えてしまいがちです。それも悪くはないのですが、飛躍的な成長を図ろうとする場合、「白紙でものを見る」ということが重要になります。

仕事というのは正解がひとつではなく、目的への手段はいくつもあるはずなのです。ですから、「先入観を取り払う」ということが計画を立てる際には重要な考え方になってくるのです。

海外から来た留学生に聞いた話なのですが、日本の算数は2+4=○と教えるけれど、外国の算数は○+○=6と教えるのだそうです。日本式の場合、答えはひとつですから回答を知ってしまえばそれ以上に考えることをやめてしまいます。しかし、外国式では答えが何種類もあるわけですから、「考える」ということが続いていくのです。

実は、トヨタの現場もこれと同じような考え方で物事を捉えています。前述したように、課題に対する答えは「ひとつとは限らない」と考え、「常に白紙でものを見よう」というスタンスで目の前の仕事に臨んでいるのです。

かつてトヨタの北九州工場へ視察に行った際、工場長から興味深い話を聞きました。

1日2台の車を組み立てる生産ラインで、受注増加に伴ってある時「改善を図って10台の車を組み立ててみよう」という目標を設定したのだそうです。しかし、ベテランの社員たちは「そんなことは、とてもできない」と、何も考えずに手が止まってしまったというのです。

そこで、まるっきりの素人を採用し、作業手順をレクチャーして作業をさせたところ、1日8台を組んでも平気な顔をしていたのだそうです。つまり、ベテランの社員たちは過去にやってきたことの先入観が強すぎたというわけです。今までのやり方に囚われて理論的に考え、「できない」という気持ちが先に立ってしまい、やる前から諦めてしまったということでしょう。

実際トヨタでは、昔から「白紙でものを見ろ」と口ぐせのように言われ続けていますが、同じようなことは多くの会社でも起こっているのだと思います。

目標を設定したり新しい活動を進めたりする際には、是非とも先入観や過去のやり方に囚われず、「目的を達成するためのやり方」を常に意識し、頭を白紙の状態にして考えてみてはいかがでしょうか。

 

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