仕事においてアウトプットを評価する場面はよくありますが、その評価においてポイントとなるのは「机上だけで完結しないこと」だと考えます。
トヨタには「者に聞くな、物に聞け」という教えや、「三現主義」というキーワードがあります。
「者に聞くな、物に聞け」とは文字どおり、人(者)に聞いた話を鵜呑みにせず実際の物を自分の目で確かめろ、ということです。工場などでよく言われる言葉なのですが、部品が壊れてしまったり故障が起きている時に、報告だけを聞いて終わらせるのではなく、必ずどんなトラブルなのかを自分の目で見るように注意されるのです。
また、「三現主義」とは、現地に行き、現物を見て、現実を理解することです。現地・現物・現実の三つの「現」で「三現主義」というわけですね。
多くの企業では、「○○がありました」と現場の作業者から聞いたことを伝言ゲームのように上司に報告していきます。日報や月報など、資料を数多く作成している人も多いと思います。組織ですから報告書は必要でしょうし、そういった“レポートライン”というのはあって然るべきですが、全て鵜呑みにしてしまってはいけないと思います。特に重要なものに関しては報告を聞いて終わりにするのではなく、なるべく自分の目で現物を確かめて評価しなければいけません。
特にトヨタは「現場の知恵」を軸として動いており、現場が全ての中心だと考えられています。実際に現場にいる人たちも「毎日変化させなければ」という考えで動いていますので、上層部の人たちも“見なければ分からないこと”が日々増えてしまいます。
ですから、トヨタの上層部の皆さんは本当によく現場に顔を出されていました。作業をしていると「この工具は何に使うのか」とか「なぜその作業が必要なのか」などなど、よく質問責めにあったものです。新人のころには何だか授業参観のような気分がして少し煩わしさも感じていましたが、徐々に「三現主義」の徹底ぶりに感動すら覚えたものです。トヨタではそうやって管理職や経営層も含め多くの人が「現地」で「現物」を見ているからこそ、適正な経営判断ができていたのだと思います。
考えてみれば、トヨタに限らず成長している企業のトップは現場をとても大事にしているように思います。今は情報過多な時代ですから情報を効率的に集めることも重要ではありますが、是非とも皆さんのビジネスの主戦場となる「現場」をしっかり理解するためにも、現場に足を運んでみてください。何かヒントが見つかるかも知れませんよ。